中古本の隆盛は、本そのものの価値の変化に結びついていると考えられます。
その際たるものは、「ベストセラー本の均質化」という現象です。
たとえば、少々乱暴なくくり方になってしまうかもしれませんが、最近の純文学(といわれるもの)を読むと、ナイーヴな主人公がひたすらウツウツと自己言及を繰り返していたり、作品のなかで登場人物が不治の病に冒されて恋人がそのことに苦しむ姿が描かれたり、似たような内容のものがいくつも散見されます。
また、かつては学生や社会人が安価で知的読書を楽しむためのいわばインテリ本であった新書の世界に、ここ数年ハウ・トゥーものや説法ものが参入してきて(おそろしいことに、みのもんたの腰痛の本までが新書として刊行されている!)、なんでもありの安価な大衆書シリーズになってしまいました。
皆が同じような内容の本を読みたがり、それがヒットすればまた同じような内容の本が大量に生み出されていく。これがベストセラー本の均質化です。こういった消費者たちが、おなじく極度に均質化された中古本屋という空間に集まることは、まったく理にかなった現象ではないでしょうか。
中古本屋の店内アナウンスでは、大量に生み出されたベストセラー本が「ただいま入荷しました!」と高らかに宣伝され、じっさいにそれらの本が十冊も二十冊も入荷してくる。
中古本は、時代の移り変わりとともに、まさに現れるべくして現れた商業形態といえるかもしれません。
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